カネイワ醤油本店
お醤油豆知識集
お醤油の豆知識色々をここにひとまとめでご紹介
色んな知識がいっぱい詰まってます
日本農林規格(JAS)でのお醤油の分類
日本の醤油には長い歴史があり、各地で独自の風味や味わいを持つ醤油が開発されてきました。
日本農林規格(JAS)では、製造方法、原料、特徴などから、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されています。そのうちカネイワ醤油本店が醸造しているのは「こいくち」と「うすくち」です。
国内のお醤油製造の現状
現在、国内で生産されている醤油の大半が本醸造であり、また濃口が大半を占めると言われています。
「本醸造」の条件は、大豆、小麦、米等の穀物を蒸煮し、麹菌を用いて作成した麹に、塩水または生揚げを混合して発酵・熟成させたものを指します。また、当店では使用していませんが麹に、蒸した米や甘酒を添加したり、分解を促進するための添加物もある程度許されています。
麹って何?
【麹菌】カビの中で、麹を作る際に用いられる菌が麹菌です。
ニホンコウジカビおよび、ショウユコウジカビは、ともに醤油醸造に用いられている麹菌です。醤油の発酵にはこの麹のほかに乳酸菌も大きな役割を果たします。
お醤油の発酵
醤油は日本で発展した調味料で、主原料は大豆、小麦、塩、麹菌、乳酸菌、酵母による複雑な発酵過程を経て生成されます。
この過程で醤油はアルコールやバニリン等の香気成分による香り、大豆由来のアミノ酸によるうまみと、小麦由来の糖による甘みを持ちます。醤油の独特の色合いである赤褐色の色調は、主にメイラード反応によって生まれます。
お醤油業界!
現在日本全国に醤油屋は1500軒近くありますが、本当に原料を仕入れてから製品までを一貫生産している醤油屋は最大手キッコーマンから小さな町の醸造元まで入れても一割強、つまり約150軒~160軒ほどしかないと言われています。
醤油は他の食品と比較して利益は一般的に低く、その一方で、年々衛生面での要求は厳しくなり、廃棄物に対する規制は強くなっています。
特に、製麹工程は、人的・場所的コストが必要な部分で、醤油油や醤油粕などの廃棄コストが必要な仕込工程を省略し、全工程を独力で行わない製造者が増加しています。製麹工程までを外部に依存するケースや仕込工程までを行わずに大手生産者より生醤油を購入し、火入・詰工程だけを行うケースなどもあります。
地方の中小メーカーの存在は、地域の食文化に密接に関係するもののため、文化保全の意味も含めて、「残って欲しい」と惜しまれているのが現状です。
お醤油の評価方法
醤油の品質は「色」「香り」「味」で評価されます。高品質の醤油を製造するためには高い醸造技術・醸造管理・衛生管理・保存管理が必要となります。
醤油の色
醤油の「色」は熟成の期間や温度経過によって異なり、無色に近い淡褐色から、黒に近い暗赤褐色まで様々なものが存在します。醤油はアミノ酸と糖に富むため、酸化や加熱、成分の揮発のほか、メイラード反応が進むことで生まれるメラノイジンにより色は濃くなる傾向にあります。一般的には淡色で赤い色調のものが良いとされ、特に濃口醤油においてはむしろ色が濃いものが好まれる場合もあります。
醤油の香り
醤油の「香り」には、鼻で匂いをかぐときに感じる「トップノート」と、口に含んでから感じる「フレーバー」があります。香気成分の多くはアルコールをはじめとする酵母の発酵生産物です。
醤油の味
醤油は、塩辛さ、うまみ、甘みを強く持ちます。塩辛さは原料の塩から、うまみは主にアミノ酸、甘みは糖によるものです。アミノ酸は、麹により生まれるプロテアーゼやアミラーゼ等の酵素によって大豆由来のタンパク質が分解されたもの、糖は同じく小麦由来のデンプンが分解されたもので、いずれも発酵工程で生まれてくるものです。
醤油の官能評価
「きき味」により、主に色・香り・味が評価されます。「色は淡色で赤みがある色調で、かつ香り高く、味が良い」醤油が良質とされています。 花のような甘い香りや爽やかに鼻に抜ける香りが一般的に良しとされていますが「よい香」とされる香りも強すぎると問題となるため、それらのバランスにおいて醸造所ごとに特徴が出ます
お醤油の保存方法とよくあるご質問と回答集
お醤油(商品)の保存方法について
醤油は塩分を多く含んでいるので常温でも腐敗しにくいのが特徴ですが、開封したまま放置しておくと、色も風味もおちてくる褐変現象という現象が起こります。
この、醤油の色が黒ずんでくる褐変現象はメイラード反応と呼ばれるもので、醤油中の糖分とアミノ酸が化学反応をおこしてできたメラノイジン物質によるもので、 色が悪くなってるだけで無害で十分食べられます。
醤油は長くおいても悪くなることはありませんが、褐変現象が起きてくれば香りも落ち、醤油の本当のおいしさが失われてきます。
褐変現象は、空気にふれたり、紫外線(日光)に当てたり、熱を加えたりするといっそう早まります。
その為、醤油は栓をあけたら「冷暗所」へ置くのが上手な保存法です。おいしさを長持ちさせるには、栓を開けたらとりあえず冷蔵庫に入れるのが一番、色・味・香りがより長持ちします。
Q.お醤油の原料は国産ですか?
A.当店の醤油の原料は国産(北海道産)の丸大豆、国産(滋賀県産)の小麦、国内の天然塩のみが原料です。遺伝子組み換えの素材などは一切使用しておりませんので安心してお召し上がり下さい。
Q.こいくち醤油とうすくち醤油の違いは何ですか?
A.こいくち(濃口)醤油は、一般的な醤油です。当店の本醸造醤油シリーズがこれに当たります。醤油の生産高の約9割を占め、通常、単に「醤油」というと濃口醤油をさします。
うすくち(淡口)醤油は、濃口に比べると色や香りは薄いが、塩分濃度が高いのが特徴です。関西地方で多用され、食材の色や風味を生かしやすいため、汁物、煮物、うどんつゆなどに好んで使われています。淡口は色が最重要視されることから、酸化して黒みが出たものは価値が低くなります。そのため、こいくちよりも賞味期限が短めに設定されているのが特徴です。
Q.生醤油って何ですか?
A. 発酵・熟成したあとのもろみを搾ったままの醤油で加熱処理(火入れ)をしていないものを指します。当店の醤油では「穀醢(生醤油こくびしお)」がそれにあたります。別名「生揚げ(きあげ)醤油」とも呼ばれます。 加熱処理(火入れ)をしていないので、もろみ特有の香りが失われず、酵母も活動を停止していません。醤油の風味がそのまま残っているのが特徴です。
Q.醤油にはどんな種類があるのですか?
A. 日本の醤油には長い歴史があり、各地で独自の風味や味わいを持つ醤油がたくさん造られてきました。日本農林規格(JAS)では、製造方法、原料、特徴などから、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されています。
こいくち(濃口) 醤油
関東地方で発達した最も一般的な醤油。醤油の生産高の約9割はこれを占め、通常、単に「醤油」というとこれを指します。
うすくち(淡口) 醤油
濃口に比べると色や香りは薄いが、塩分濃度が高いお醤油です。関西地方で多用され、食材の色や風味を生かしやすいため、汁物、煮物、うどんつゆなどに好んで使われています。
たまり(溜り) 醤油
風味、色ともに濃厚なもの。刺身につけたり、照焼きのタレなどに向くお醤油です。原料は大豆が中心で、小麦は使わないか使っても少量です。
さいしこみ(再仕込み) 醤油
甘露醤油とも呼ばれるお醤油、風味、色ともに濃厚です。刺身、寿司などに向いていて、最大の特徴は仕込工程で、塩水のかわりに生醤油や醤油を用いて造ることです。
しろ(白) 醤油
色は薄く、醤油というよりナンプラーのような色合いをしています。味は塩分が強く、少し甘みがあるようです。原料は大豆が少なく、小麦が中心。色の淡さが特に重要なため、淡口よりさらに賞味期限が短くなります。
Q.表面にカビが浮いた醤油は捨てるべきですか?
A.あの白いカビのようなものは産膜酵母と呼ばれるもので、食べても心配ない種類です。
当店では出来るだけ発生しないようにしてはいるのですが、もし発生した場合でもペーパータオルや布なのでこせば、使うことができます。ただし風味は落ちていますので、そのままは使わずに、火を通して早めに使い切っていただくことをおすすめします。
Q.醤油の醸造所見学はできますか?
A.はい可能です。ご希望の方は1週間前までにご連絡下さい。事前にご連絡なしに突然おいでになられた場合、仕込時期などに重なると対応できない場合がございます。
お問合せは フリーダイヤル 0120-33-2149 までお願いいたします。
Q.賞味期限が切れた醤油は食べられないのですか?
A.醤油は塩分が強く保存がきく調味料なので、期限が切れてもご使用には問題ないですが、風味や色合いが悪くなってきますので、美味しく召し上がっていただくためには期限内の消費をオススメしております。詳しくは醤油の保存方法をご覧下さいませ。
Q.黒っぽく色合いが変化してきた醤油は健康に害がありますか?
A.健康に害はありません。醤油が黒ずむのは、アミノ酸と糖分が化学反応を起こしてできるメラノイジンという化合物が空気と接触して酸化褐変するためで、腐ったり有害物質に変化しているわけではありません。変色を遅らせるためには、冷蔵庫などの冷暗所で保存し、空気との接触面を少なくするのが効果的です。夏場はとくに温度が高くなりますので、開栓・未開栓に関わらず冷蔵庫で保存していただくのが一番いいと思われます。
Q.通信販売以外でカネイワ醤油本店の商品を購入することは出来ますか?
A.各地の百貨店・スーパーまたは産直市場での販売も行っております。販売店舗につきましては、お電話またはメール(syouyu@kaneiwa.net)でお問い合わせください。
Q.海外へ発送してもらえますか?
A.食品衛生上の都合もあり、商品の発送は日本国内に限らせて頂きます。
Q.注文後に確認メールが届きません
A.ご注文後に自動送信される「自動返信」メールが届かない場合は、ご記入いただきましたメールアドレスが間違っている可能性がございますので、当店までメール(syouyu@kaneiwa.net)またはお電話にてご連絡下さい。
■フリーメールをご利用のお客様へ
フリーメール(hotmailなど)のアドレスでご注文されましたお客様は、自動返信メールが到達しないことがあります。御注文後、自動返信メールの受信確認をなさってください。
醤油造りの風景
お醤油を造るところを見たことがありますか?
大きな工場じゃなくて、一つ一つの作業を人の手で行い
人の目で確かめながら作業をしているところ
醤油醸造工程
上の図はカネイワの醤油造り(醸造)の工程を図にしたものです。
結構手間隙が掛かるものだということが解っていただけると思います。
そんな、醤油造りの風景の写真をこのページには並べています。
でも、これがカネイワの日常・・・というわけではありませんが、仕込から醤油が出来るまでの工程を順を追って説明していきます。
醤油の原料である丸大豆(左)と小麦(右)です。どちらも国産の素材です。よく見てください。
すごく綺麗でいいものを使用しているのがわかると思います。あと使用するのは塩だけです。塩はもちろん国産のこだわったものを使用しています。
大豆は一晩以上水につけて膨潤したところで圧力をかけて蒸煮します。小麦は小麦は焙煎し、くだいて荒い粉末状にします。
大豆は蒸煮の時間がキモです。きちんと蒸煮されていないと生の大豆タンパク質が残って醤油の濁りにつながりますから、ここはきちんと時間をかけて行います
大豆と小麦、それに醤油の種麹をいれて均等に混ぜ合わせ、室(むろ)という醤油のための麹を作るための部屋に入れ、均等に広げます。
ここが職人の腕の見せ所です、その時期の気温や湿度を考え常に室の中を麹を作るための湿度と気温に保ちながら、夜も寝ずに麹の状態を見続けます。これを失敗すると醤油は出来ません。
麹が出来たら塩水を張った樽に麹を入れます。あとは諸味(もろみ)になり、諸味がさらに熟成され、醤油として搾れるまでの約二年間、毎日毎日かき混ぜて諸味に呼吸をさせ、麹が持つ酵素により蛋白質はアミノ酸に、デンプン質は糖に分解されていくのを待ちます。
かき混ぜて空気と混ぜあわせることで酵母に呼吸をさせ発酵をうながしていくのです。長い長い時間、諸味は木樽の中で醤油になる日を待っています。
いよいよ諸味を搾って醤油にします。昔ながらの方法で布に包んで搾ります。最近は写真にあるようなプレス機を使っていますがそれ以外は昔からの方法を変えていません。
搾った醤油はまだ火入れをしていませんので生醤油と呼ばれています。
搾ったままでは醤油の中で酵母が生きています。ですから搾った醤油を火にかけて発酵を止めます。その後ビンに詰めます。これで醤油の完成です。
醤油のための麹
醤油の命である「麹」造り、仕込みの季節は春と秋
工事がきちんと花を開くまで蔵人は温度と湿度、そして麹を見守る
すべてが終わるまで蔵人は不眠不休で見守り続ける
良い醤油のために大切なこと
醤油醸造の基本は大豆や小麦などの植物性原料をそれぞれ加熱処理してから勘合し、麹菌を繁殖させた後、食塩水を加え発酵・熟成させることで造って行きます。 その味わいは東洋独特の発酵調味料であると言われています。
美味い醤油を「造る」ために大切なこと、それは、
美味い醤油造りは良い「諸味(もろみ)」を造ること。
良い諸味を作るのは良い「麹(こうじ)」を造ること。
良い麹を作るのは熟練の「原料加工処理技術」。
原料加工処理とは本物の「良い原料」を吟味すること。
すべては醤油のためにお互いに関連しながら影響しあっている因果関係から成り立っています。 すべての条件を満たそうとすれば蔵人の技術と情熱がなによりも不可欠な最低条件といえます。
その情熱を表す表現として「麹は寝ても蔵人は寝るな」という言葉があるのです。
眠らずに見つめ続ける
醤油の原料である大豆と小麦を加工して「種麹(たねこうじ)」とあわせて「麹(こうじ)」を作る過程では、きちんと麹の花を咲かせるための温度の管理のために蔵人は寝ずの番をします。
最新技術での大量生産の工場であれば温度計や湿度計などのセンサーをコンピュータで管理する方法が取られていますが、それだけでは解らないことというのが実は多いのです。
伝統の手法を守り続けるカネイワでは、蔵人が温度計を睨み、それだけでは足りずに、自分の手を入れて温度を確かめ、目で見て麹の状態を確認し、手にとって香りを確かめ、湿度を肌で感じ取る・・・と蔵人の五感全てを熟練のセンサーとして使うのです。
こうして、原料と種麹をあわせたものが麹に変わる過程を眠ることをせずに見つめ続けるのです。
蔵人が技術と情熱で「良い麹」を作り上げたら、良い諸味は自然の力が造ります。 カネイワ醤油本店の醤油を発酵熟成させる木桶や建物の中には、百年近くもの間、そこに世代交代をしながら住み着いている酵母や微生物がたくさん生きています。
この酵母と微生物、それを育む環境が、職人の技だけでは出しえない秘伝の味を今も守り続けているのです。
醤油は八つの季節を越える
本物には時間が必要である。だからもろみはずっと待っている。
春夏秋冬を二回数える時間の間ずっと、ずっと待っている。
本物になるために待っている
今日も「諸味(もろみ)」は待っている
本物の「美味い」醤油を作るには時間が必要です。
醤油は 「酵母が持つ力」を利用し、「酵母が持つ力」を最大限に引き出し、酵母が醤油を熟成させる時間を与えてやることが大切です。
そのためにカネイワ醤油本店では醤油のための諸味を8つの季節(2年間)を超えてじっくりと熟成させていきます。
春が来て、夏になり、秋が訪れ、冬を越える・・・・
カネイワを取り巻く自然が奏でる4つの季節を2度ずつ超えて8つの季節を越えることで諸味は円熟の旨みを持ち、それを搾って作る醤油は本物の味わいに仕上がるのです。
こうして造った醤油はカネイワならではの深い味わいを実現していると自負しております。
醤油のために職人達が寝ずの番をしながら麹を作り、それを木樽に張った塩水に入れ、諸味として発酵熟成のために二年間、毎日毎日かき混ぜながら造る醤油屋は今では数少ないものになりました。
醤油の醸造職人と酵母や微生物の力と自然の環境(四季)が織り成すハーモニーと、100年近くの間、カネイワ醤油本店ではぐくまれてきた独自の味を今も、そしてこれからも造り続けていくのです。
これからも、味に甘んじることなく・・・・・・・そして、大量生産に走ることもなく・・・・・・
当店の醤油の味を守っていき、「美味しい」「旨い」といってくださるお客様のために誠心誠意をもって醤油醸造に努めていくことがカネイワ醤油本店では一番大切なことだと思っています。
今までも、そしてこれからも変わらずに心を込めた本物の醤油になるために今日も「もろみ」はじっと待っているのです。
いつか醤油となってお客様のお手元に届くのを待っているのです。
カネイワ醤油本店の話、本物の醤油
醤油発祥の地、紀州和歌山で醤油のルーツをたどりつつ
素材にとことんこだわりぬいて、何も変えない木樽仕込み
二年の歳月を諸味の熟成に使い、布に包んで諸味を絞る
絞った醤油を詰めるのは、昔ながらのガラスのビン
そんなこだわりぬいた醤油を売るために、今日もカネイワは店を開く
醤油発祥の地、紀州和歌山
醤油のルーツは、古代中国の「醤(ひしお)」であるといわれています。
「醤(ひしお)」とは広い意味で「食品の塩漬け」のことを指します。
つまり、醤(ひしお)の始まりは食品を塩漬けにして保存したものから始まりました。
果実、野菜、海草などを材料にした「草醤(くさびしお)」と呼ばれるもの、魚を使った「魚醤(うおびしお)」や肉を使った「肉醤(ししびしお)」、穀物を原料とする「穀醤(こくびしお)」などがありました。
「草醤(くさびしお)」はお漬物の原点、「魚醤(うおびしお)」は日本ではイカの塩辛などが有名ですね。日本における醤(ひしお)の起源は、魚や植物を塩漬けにして保存した縄文時代まで遡ることができるそうです。
さて、お話を戻しまして、醤油の原点は、その中でも米・小麦・大豆を使用した穀醤(こくびしお)が原型と考えられています。(それにちなんで、カネイワ醤油本店の生醤油は「穀醤(こくびしお)」の名前をいただいています)。
径山寺味噌から醤油へ
13世紀頃、南宋鎮江(現中国江蘇省鎮江市)の径山寺で作っていた、刻んだ野菜を味噌につけ込む径山寺味噌の製法を、紀州(和歌山県)の由良興国寺の開祖法燈円明國師(ほうとうえんめいこくし)が伝え、紀州・湯浅周辺に径山寺味噌作りが広まったといわれています。
このお味噌は現在の「金山寺味噌」のことです。
この金山寺味噌を作る際に出来る、味噌の溜(たまり)を調味料として使うとおいしいことを発見したことから、液体の醤油作りが始まりました。そして、紀州・湯浅で生まれた醤油の製法はその後も発展、全国に広がっていったといわれています。
現在の日本の醤油事情
現在日本全国に醤油屋は1500軒近くありますが、本当に原料を仕入れてから製品までを一貫生産している醤油屋は最大手キッコーマンから小さな町の醸造元まで入れても一割強、つまり約150軒~160軒ほどしかないと言われています。
その理由は醤油醸造にかかる時間。
醤油の原料である大豆のたんぱく質と小麦のでんぷんが発酵・熟成し、絶妙の調和を生み出すには、長期間にわたる発酵・熟成の時間が必要です。 それは、非常に手間がかかり大量生産には向かない方法です。しかし、そこには自然の力と時間によってはじめて生まれる「色・味・香り」の絶妙なバランスがあり、繊細で複雑な深い味わいがあります。カネイワ醤油本店は、そんな日本の味を支える醸造文化を今に伝える数少ない手造りの醤油醸造元の一つです。
カネイワ醤油本店
カネイワ醤油本店の初代店主は明治時代後半に醤油の製法を醤油の生まれ故郷に程近い場所、湯浅醤油で名高い紀州・湯浅で学びました。
醤油醸造技術を身につけた後、自分自身での醸造蔵の設立を望んだ初代はその蔵の設立地に金屋町(現在の有田川町)を選びました。 その理由は、世界遺産にも登録される熊野古道を抱く紀伊山地、高野山系から湧き出る良質の水。 その水を醤油醸造に使うためにこの地に蔵の場所を求めたのです。
さらにこの地は鎌倉時代における仏教に新しい生命を与えた高僧である伝明恵上人の生誕の地でもありました。
カネイワ醤油本店の初代がこの地に根を下ろし、醤油醸造を始めたのは大正元年。
以来100年、この地でカネイワ醤油本店は豊かな自然に囲まれ、美しい水が流れる有田川の支流をすぐ隣に見る古い佇まいのカネイワ醤油本店の「醤油醸造所」の建物の中では、伝統的な大きな木樽による昔ながらの製法で季節を越えながら天然発酵熟成を続ける醤油たちが今日も生きています。
大量生産では決して出せない本物の味と香り、そして旨みを醤油の本場「紀州有田」からカネイワ醤油本店は自信を持って、今日も皆様にお届けさせていただいております。